お知らせ

結婚育児資金贈与の問題点

2016/08/01

 平成27年度税制改正により、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税特例」が創設されました。その目的は、少子化への歯止めが目的とされ、子育て世代の経済的不安を解消するためとされております。当該制度に先立ち「教育資金贈与の一括贈与の非課税特例」という類似する制度がありましたが、それに比べると制度適用者が大きく及ばず、政府のおもわく通りにはいっていないようです。何故でしょうか。両制度は、受贈者側が教育資金であれば30年、結婚育児資金なら50歳になった時点で使い残しがあれば残額に贈与税が課税されるところは共通しています。問題は、贈与者側が死亡したケース。教育資金特例では、贈与者が期間中に死亡したとしても、その時点での残額が相続財産に加算されることはないし、通常の贈与において死亡前3年以内の贈与はなかったものとして相続財産に持ち戻されるところを、課税対象から除外されることとなっています。他方、結婚育児資金特例においては、受贈者が50歳になるまでに贈与者が死亡すると、その時点での残額が相続財産に加算され相続税が課せられてしまうところが、教育資金特例とは異なるところです。


 筆者が相談を受けたケースでは、教育資金特例は、孫の教育資金は進学先が市立であれ公立であれ、各家族がそれなりに負担を負うため不平等を生みにくい。しかし、結婚育児資金については、孫(子は既に結婚、孫全員へ贈与検討のケース)が全員結婚するのか、独身もいるかもしれない、皆が子を持ちたいと願っているのか、全く読めないのに加え、現代のライフプランの多様化によって大きく異なり、後に不平等を生むと心配され断念されました。では、孫全員に対して結婚資金だけでもどうかとなりそうなものですが、300万円が限度であれば、暦年贈与(いわゆる110万円贈与)を3年するのと変わりませんし、それなら金融機関等への信託等をする必要もないわけです。こういったところに、当該制度の問題があるのかもしれません。


-------以下、制度概要------

<対象期間>

平成2741日~平成31331


<対象者>

・贈与者 直系尊属である父母や祖父母

・受贈者 20歳以上50歳未満の子・孫等


<対象金額>

1,000万円、結婚費用は300万円が限度


<手続>

信託銀行など金融機関に信託等契約に基づき、①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭等を銀行等に預入をした場合、③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等から有価証券を購入した場合、など「結婚・子育て資金口座の開設」等を行う。


<申告>

金融機関等の営業所等を経由して「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出する


<非課税対象>

・結婚費用

挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用、家賃・敷金等の新居費用

転居費用

・妊娠、出産、育児費用

不妊治療費、妊婦健診費用、分娩費用、産後ケア費用、子の医療費、

子の保育費(ベビーシッター費含む)

・追加対象(平成28年度)

 不妊治療費のうち、薬局に支払う医療品代(処方箋に基づくもの)

 産前産後の母親の医療費、薬局に支払う医療品代(処方箋に基づくもの)

 母親の産後健診費用


<資金管理契約の終了>

(1)受贈者が50歳に達した場合 ※1

(2)受贈者が死亡した場合

(3)信託財産等の価額が零となった場合において終了の合意あるとき

1非課税拠出金額から支出額を控除した残額があるときは、上記に該当する日に贈与があったものとして贈与税が課税されます。


<贈与者が死亡した場合>

 信託等の期間中に贈与者が死亡した場合は、死亡日の非課税拠出額から支出額を控除した残額は、受贈者が贈与者から相続または遺贈により取得されたものとみなされ、相続税の課税価格に加算されます。その場合、いわゆる2割加算の対象にはなりません。


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